北海道遠征の旅⑤

 

2014年8月13日  天気:豪雨、強風、濃霧

北海道遠征の旅⑤は大雪山のページとなります。大雪山の最高峰である旭岳への登頂となりますが、天候はこれまでにない最悪条件の揃う過酷なもので、豪雨に強風、そして濃霧のトリプルダメージは台風の中を歩く状況に似ており、トムラウシで起こった遭難事故を思う自分への教訓にもなりました。本来はここから出発して大雪山、トムラウシ、十勝岳と縦走する予定でしたが天候悪化の理由で断念。

・・・アクセスについて・・・

旭川駅から大雪山旭岳ロープウェイまでは「いで湯号」と言うバスが運行しておりますが、始発が9時30分発なので時間制約がある場合、トムラウシまでの縦走計画の場合は時間配分に注意です。旭川駅からレンタカーを借りて進むのが手軽。危ない道はありませんし迷うこともないです。無料駐車場はロープウェイ駅から1分程の場所なので利用価値があります。ただ休日は混みそうな気がしますね~

・・・所持品・・・

"今回!!" は低体温症と浸水を防ぐためカッパ、ザックカバー、ゲイターを装備。ウインドブレーカーではずぶ濡れ必至。姿見駅から旭岳までのピストンコースであればストックは不要。危険ヶ所ゼロ。晴れの場合はサングラス、タオル、日焼け止めクリームは必須。飲料水は1リットル程度で十分。道はよく整備されているので濃霧であっても地図やコンパスは使う機会は少ないかと。私も使わずに戻ってこられましたので。

 6時30分 車中泊した無料駐車場

北海道遠征の旅、後半戦に突入です。3座目は大雪山の旭岳。昨日は月が出ていたから安心しきっていたのに、起きてみれば小雨がパラパラ降る天候で泣ける。時間短縮を図るためロープウェイを活用して進んでいきます。使わない場合は2時間30分の山道を強いられます。その場合はゲイターが必要ですね。

 7時00分 大雪山旭岳ロープウェイ

大雪山旭岳ロープウェイ施設は駐車場から1分もかかりません。あ、そうそう、施設前にも別の駐車場(有料) がありますが、こちらは夜中になると閉鎖されます。さて、天候が悪い場合は駐車場からロープウェイが動いているのを確認した後で出発しましょう。それにしても登山者少ないな~

 姿見駅に到着

ロープウェイ下車駅は姿見駅。何名か登山者が椅子に座って休んでいますが、「はて?どうしたんだろうか?」 そう思いながら外を見ると、雨と霧で登山路が全く見えなくなっている。こりゃ大変な状況になってるな~。この状況、むやみに飛び出すと危険なので、天候が落ち着くまで待つことにします。

 雨がザーザー降っている

ちょっと外に出て様子を確認。強めの雨がザーザー降っていて登山の意欲を見事に消していきます。

 9時15分 いつもより遅い出発


頑張って待ったおかげか霧が徐々に晴れてきました!と言っても良いわけではない。でも霧が晴れたおかげで姿見駅の前にある池を見つけられました。「こんな高い場所に池があるなんて不思議だな」 そしてこの期を逃すまいと登山者がゾロゾロ出発していきます。私もカッパとザックカバー、そしてゲイターを装備して霧の中に突入です。姿見駅で飲んだホットコーヒーでだいぶ温まりましたね(^o^)

 霧・・・と言うか雲の中の登山

濃霧の混じる景色も貴重って言えば貴重ですが、やっぱり旭岳のドドーンって姿を見たかった(>_<)


スタート10分程で姿見ノ池に到着・・・が、池がどこにあるのか全然分からん(汗) 池の前には遭難者の追悼の念として建設された鐘の塔がありますが、これが響く響く!姿見ノ池避難小屋(石室) も近くにあり、中に入ってみるとガッチリ構造。2階へはハシゴを使うようなんですが見事な垂直。

 10時00分 変化のない景色ばかり


遭難するかな?道に迷うかな?マイナスオーラを放出しまくりですが登山道はハッキリ見分けがつくほど迷わない(笑) それにしても濃霧時の写真ってどこで撮っても青い空ばかりで変化なしですね(泣) 標高が上がるにつれて雨がパラパラと降り始めてきましたんで気分はさらに下に向かってガクーンです。

 雨が強くなってきたよ(>_<)

霧が晴れた瞬間に写真を撮ると空が白く写ります。他愛もないことに面白がってる私ですが、そんなことを嘲笑う(あざわらう) かのように雨が強くなってきました。しかも強風のオマケつきです。

 台風並みの天気に化けた

そうして歩くこと10分・・・とうとう台風のような天候に見舞われました。写真から伝わったらいいんですが、横なぶりの強風が吹き、雨がトゲのように強くなり、天候も不安定になって精神的に参る色々な出来事が、私だけでなく他の登山者に次々と襲っていきます。とにっかく風が強い!

 10時50分 大雪山(旭岳) 登頂

山頂から戻ってくる登山者と「これはヒドイ雨ですね!」、「雨が顔にあたって痛い!」、「風が強すぎるぞ!」など言葉を交わしながら山頂に到着。うわっ体が煽られる!当然のこと景色なんて見えませんゾ。そんなことよりもこの状況から早く抜け出したい一心でさっさと山頂の写真を撮って下山します。こんな中でも記念写真を撮る親子連れがいましたが妙なハイテンションになってましたね。気持ちは分かりますが・・・

 状況は悪化を辿ります

帰り道も悲惨でした。風がますます強くなり雨がトゲと言うか石のような硬さをもって襲ってきます。顔まで隠さないと痛みで赤く腫れるほどの強さです。私は手の甲を数ヶ所やられました。そこに追い打ちをかける身動きが取れないほどの強風!下山後に風速を確認してみたら、なんと風速30m/sは出ていたようです。

 事故の教訓を活かすために!

ある本に低体温症被害についての情報があり、その被害に遭った方は暴風豪雨と汗の冷えによって体温が28度付近まで低下し死亡したと書かれており、この出来事はメディアで大きく報道されるなど過去最悪の遭難事故として波紋を広げました。立ち止まったり道に迷ったりする不安から体温調整が狂い始め、突然体が動かなくなるハンガーノック現象。準備が万全でも使いこなさなければ意味がありません。

 11時40分 姿見ノ池に戻ってこれた

雨風に遭いながら避難小屋になんとか戻ってきました。ここまで来たら「あら不思議」 風と雨が落ち着いています。悪天候雲は山頂付近にだけ漂っていたのかな?山頂からトムラウシ方面に向かった登山者がいたんですが本当に大丈夫なんだろうか?後日のニュースで何も聞かなかったから大丈夫だろう。

 姿見ノ池と地獄谷

姿見ノ池・・・見えないな~と思っていたら突然霧が晴れた!そしてすぐに隠れてしまった。

前方から煙がモクモク噴出して、そして硫黄の臭いが風に乗って流れてきます。登山路を歩いていた時に横からシューシューって音が鳴っていたのはこの噴出音だったんですね。ここも時間とともに霧に中へ・・・

 姿見ノ池周辺を歩いてみます

大雪山は旭岳を目指すだけじゃなく高山植物を眺める場所としても有名です。姿見ノ池から姿見駅まの登山路を歩いていると、ちらほら高山植物が目につくようになり、「やっと落ち着いて植物観賞が出来る」 と一安心。景色が拝めないのなら高山植物をゆっくり鑑賞したい!

 やや!シマリスではないですか

・・・と岩陰からリス登場!何を食べているんでしょうね?今回で通算3回目の遭遇です。

チングルマの実バージョン!見渡す限り続く群生地って素晴らしい!写真を見て頂くと分かるかと思いますが、本当に奥まで続いていました。ヒマワリやコスモス、ラベンダーの庭園とは違って高山植物の庭園も彩豊かで良いです。私はどちらかと言うと高山植物派。皆様は如何ですか?

 12時15分 姿見ノ駅でブレイクタイム

最後まで霧は晴れませんでしたが、それでも満足な気分で姿見駅に戻ってこれました。売店で「青い池ゼリー」が売られていたんで興味本心で購入。味は・・・普通のゼリーと変わらないかな?室内でご年配夫婦の方から山頂の状況について質問され、そして説明し終わると、「君は見るからにベテランだね、話し方、装備、情報伝達が的確だ」と褒められました。有難う御座います(^_^) 初心者ですがとても嬉しいです。

 野菜カレーは美味しかった(^o^)

レインウェアを装備しても正直寒かった・・・朝ご飯を食べて元気回復といきましょう!姿見駅には食堂は併設されていませんのでロープウェイで山麓駅に下りる必要があります。食堂ではラーメンやカレーの宣伝がバンバンされており食欲がどんどん湧いてくる。今回はカレーを選択。野菜が大きく食べごたえ抜群!

 13時35分 日帰り温泉に立ち寄りましょう

カレーを食べた後、次は温泉に入りたい気分。旭岳万世閣ホテルベアモンテで日帰り温泉をやっていると入口の看板に書いてあったので早速寄ります。早く体の芯から温めたい。1,080円と少々割高価格ではありますがワガママは言ってられない。ホテル内に無料インターネットが出来るPCが置いてあったので明日のトムラウシ天気を確認したら、晴れと曇りと雨の混じる微妙な天気で・・・なんかねぇ。

 キタキツネがまたまた参上

温泉に入ってスッキリした後は、いよいよラストの4座目であるトムラウシに向けて出発します。早速「トムラウシ温泉」と入力して・・・キター184km!5時間コースですよ(泣) そんで道道1160号線を走っていると、またまたキタキツネが道路を横切ってきた!道路には「動物注意」の看板が結構設置されています。

 15時00分 トムラウシに向けて出発

山の天気は最悪そのものでしたが街は快晴ですね。日差しが強い。でも振り返って大雪山を見ると雲が相変わらずの量でスゴイ。今この瞬間に登っている人はいるのかな?現在トムラウシを目指して走行していますが、その前に美瑛市の丘やラベンダー畑を見てみたいと思い寄り道を始めています。

 北海道で見かけた丘

走行中に丘を見かけて緊急ストップ!本来は「〇〇の丘」が望ましいのでしょうが、私はこの風景でも大満足です。木々の他に田畑が緑色、茶色、肌色になった景色が奥までずっと続くと不思議な世界に来た感じがします。それでは次にラベンダー畑を見に行きましょうか?カーナビ経由地として目的地を追加します。

 16時10分 ファーム富田

ファーム富田です。ラベンダーの見頃は7月から8月中旬までで満開時期は過ぎちゃったみたいです。でも他の花は綺麗なので見応えはあります。売店にラベンダーラムネラベンダーカルピスゼリーなるものが売っていたので購入してみました。ラベンダーの味ってなんだろう?食べてもよく分からんかった。

 カーナビ利用の注意点① 道道253号線

カーナビ通りに進むと時折変な道に連れていかれます。今回もその一例で、そのまま直進させれば良いものを、なぜか曲がれと指示が出て、そして向かわされた先がなんとダート道!水が路面に溜まる穴もあって、すれ違える路肩もなく、無理やり路肩に寄れば転落しそうな怖い道。もちろん引き返しましたよ。

 カーナビ利用の注意点② 老節布簡易郵便局の交差点

道道253号線から樹海小学校前にある交差点を曲がって国道38号線に入る、その"前の交差点" なんですが、カーナビが交差点を曲がれと指示を出さないので、間違って直進してしまう可能性あり。カーナビ頼りにして前しか見ていなかった私が一番悪かったんですが、危うく間違った道を通るところだった。

 18時00分 道の駅 南ふらの

1つ目の峠(樹海峠) を越えてホッと一安心です。ちょうど休憩ピッタリの道の駅を見つけたので休みましょう。出店のメニューに「とうきび」が書かれていますがトウモロコシの一種です。また200m先に1軒コンビニがありますが、これを逃すと手遅れとなります。貴重なコンビニですが、仕入れが難しいのか納入が遅れているようで食料がかなり底をついていました。ここで明日の食料を調達します。

 19時25分 JR新得駅に向かいました

本来立ち寄る必要のなかったJR新得駅に立ち寄ってみました。ここにコンビニがあるか確かめるためです。公共交通機関の場合は駅を出て右を歩くとあるバスに乗ってトムラウシ温泉へ。最寄りのコンビニは国道38号線を目指す500m先にあって駅前にナシ。でもフクハラって名前のスーパーが近くにありますのでここで調達するのが賢い選択かも。ただ夜8時で営業終了なので気を付けて。

 トムラウシ温泉まで残り60km

さてトムラウシ温泉に向かいましょう。新得駅からは60kmの距離で2時間ほどかかります。明かりは一切ないので車のライトだけが頼り。横からキタキツネが出てくるので走行には注意を要します。またトムラウシ温泉6km手前あたりから舗装が突然切れてダート道に変化します。ある程度固められた道なので走行しやすいんですが、ガクガク揺れる道はあまり走りたくないものです。いや本当に・・・

 22時40分 短縮登山路は断念しました

トムラウシ温泉に到着。トムラウシ登頂の最短経路はトムラウシ温泉からトムラウシ短縮登山口に向かう必要があるんですが、「こっちの道の方が酷いじゃねぇか(>_<) 」 過去最悪のダート道です。ボコボコ穴が多く水も溜まって路肩も正直狭く、しかも「路肩弱い」って書かれた看板が気持ちを萎えさせて正直進むのが怖い。8kmの距離しかありませんが私は心が折れてしまったので引き返すことに。

 23時05分 トムラウシ温泉より

さぁどうしよう?トムラウシの日帰り登山は往復9時間が標準タイムとされ、しかもそれはトムラウシ短縮登山口を使った場合の話し。トムラウシ温泉から進む場合は12時間を超えるタイムになるそうです。朝6時に出発すると夕方6時の到着。トムラウシに行った方のHPを見ても短縮登山路からのスタートしか載っていなくて情報ゼロ(*´Д`) こうなりゃ私が作るしかないな・・・トムラウシ温泉でSB端末3G電波が3本立ちます。

台風の中を歩く・・・いや、実際には歩いていませんが似たような状況に遭遇したことは貴重な体験だったと言えます。強風に雨が混じるとトゲ水になることも知りました。ちなみと豪雨と暴風の中でのアウター着込みは上半身ずぶ濡れを覚悟するほどの度胸が必要であり、運が悪いと状況はもっと悪化します。天候を先読みする力も必要ですな。それでは明日はラストの山、トムラウシ登頂となります!