北アルプス縦走②
2012年10月8日 天気:晴
昨日の雨空や濃霧とは打って変わり、本日は嬉しいほどの快晴ぶりとなりました。天気予報では本日から数日間晴れになるってことが分かっているので楽しみながらの登山ができそうです。本日の工程は、標高2926mの薬師岳に登り、そのあと薬師岳山荘に宿泊となります。今日はどんな景色が見られるのか・・・、期待に胸を躍らせながら荷物の最終チェックをします。
5時30分 折立キャンプ場 |
昨日は濃霧の影響で折立周辺がどんな所なのか全く分かりませんでしたが、今日は天気に恵まれたため、もう一度折立周辺を歩いてみようかと思います。小さなキャンプ場と看板に書いてあったので、私の他にもテント泊をしている方がいると思っていましたが、誰もいません。
5時40分 折立登山口 |
1963年(昭和38)1月の正月、薬師岳登頂を計画した愛知大学山岳部13名全員が下山途中に遭難、死亡すると言う大事件が起こりました。突然の猛吹雪に襲われ、薬師岳登頂を目前にするも視界ゼロと猛吹雪の窮地に追い込まれ下山を決行。しかし、途中で誤った道を下りてしまったために麓まで戻ることができず遭難。彼らを見つけた時は、その事件発生の2カ月後、遺体としての発見でした。慰霊碑を見ると、とても胸が締め付けられる思いがします。
5時50分 三角点ポイントを目指します |
前日の雨の影響で地面がぬかるんでいます。特に根っこの上を歩く際に滑りやすくなっているので注意して歩く必要がありますね。表題に書いた三角点って言うのはどうやら場所の名前、名称のようで、富山平野や有峰湖が眺望できる展望場所ってガイドブックに載ってました。
7時00分 ここが三角点って場所 |
標高は1870m。先ほどの樹林帯から一転して景色が良くなってきました。そろそろ森林限界に近付いてきてますね。ベンチには霜が降りていて、朝の気温がとても低かったことが伺えます。気持ち良い日差しに疲れた体も徐々に回復し、だんだんと気持ち良い疲労に変わってきています。山の稜線も見えるようになりましたので、これからは景色を楽しみながら歩けます♪
8時30分 五光岩ベンチ |
五光岩が見られる場所なんですが、どれが五光岩なのかサッパリ分からん。地図を照らし合わせると左下の写真の中に五光岩が写っているハズなんですが・・・やっぱりわかんない。そして右下の写真になりますが、中央奥に見える山が薬師岳です。まだまだ先は長いですね~
太郎平小屋が見えてきた! |
五光岩から太郎平小屋までは1時間30分の時間がかかると地図に載っていましたが、実際に歩いてみると50分くらいで太郎平小屋に着きそうな感じがします。そして木道を歩いていけば、最初は小さかった太郎平小屋の姿もだんだんと大きくなります。天気も良く最高です!
9時15分 太郎平小屋に到着 |
太郎平小屋は十字路の交差点の上に建っており、「折立」方面、「薬師岳」方面、「黒部五郎岳」方面、「雲ノ平」方面など各方面への中継ポイントを担っています。そのため多くの登山者が集まる場所ともなり、山の交差点になっています。太郎平小屋の前でdocomoのアンテナが何本か立ちますね。
9時50分 薬師峠キャンプ場 |
太郎平小屋から薬師岳方面を歩くと太郎平小屋管轄のキャンプ場に到着します。水も補給できトイレも併設されていて利用価値が高い・・・んですが、登山道の真ん中にあるので登山者がテント場の真ん中を歩くことになってしまいます。なので、うるさいのが苦手な方は難しいかも。
根性が付きそうな登り坂 |
ガレ場に加えて傾斜が混じっているので歩きづらい。石を踏むたびにグラッと動くので、浮石を踏まないようにと余計な気疲れが加わってなお辛い(泣) 一緒に歩いていた登山者の方から、「これはきつい・・・」と苦しい声が飛び交います。これはもう根性付きますよ。今日の歩程の中で、この坂道が一番きつかったですね。前方に薬師岳が見えるのに全然近づかないんです。
11時20分 薬師岳山荘に着いたと思ったら・・・ |
薬師岳山荘はどこだ~?と探しながら歩いていたら、ひょっこり山荘が現れました。やっと着いたと思ったらオーナーから、「営業は昨日で終了したんです」って突然言われてビックリ!本当はここで宿泊する予定だったんです。電話が全然繋がらないので直談判しようと思っていたのに山荘は冬支度の真っ最中。「太郎平小屋まで戻るしかない・・・」と、決心がつきました。
薬師岳を目指します |
「薬師岳山荘の背後に見える山は頂上でもなんでもなく、山頂はその左奥に見える山ですよ」と、薬師岳山荘の従業員の方から言われて疲労感がどっと押し寄せました。え~まだまだ続くんじゃん。でもここまで来たら頑張るしかない。荷物を山荘にデポして山頂を目指します。
12時15分 足ガクガクで薬師岳山頂! |
北アルプス縦走計画の最初の登頂場所、薬師岳にやっと到着です!周囲を見渡せば槍ヶ岳が見える・・・と思っていましたが雲に隠れてしまってダメじゃ~ん。でも反対側の立山は綺麗なまでの眺望が出来ます。日本海からの風が強い場所のため、祠の周りには崩れないようにと石が頑丈に敷き詰められています。薬師岳からスゴ乗越方面に進む登山者が見えました。
雲が出てきたな・・・急いで下りよう |
雲が徐々に山へと近付いてきたので急いで下山です。この辺りは雲がかかると自分がどこを歩いているのか分からなくなり、遭難の可能性が出てくる怖い場所と言われています。確かにどこを見ても砂利道続きでどこからでも下りられそうな錯覚を起こしそう。ケルンを頼りに正しい道を下ります。
15時00分 太郎平小屋に到着 |
疲労で足がガクガク。だから小屋を見つけた時の安堵感は凄かったです。宿泊手続きをして早速ビールを飲んでしまいました(笑) 後日談ですが、薬師岳山荘が営業終了と言うハプニングで予定外の距離を歩くことになってしまいましたが、実はこのハプニングがあったからこそ全行程を無事に終えることが出来ています。まさに不幸中の幸いだったと今でも思っています。
今宵の宿泊者は10名。夕食時はご飯を食べながら明日の予定をみんなで話し合い、「雲ノ平に進みます」、「黒部五郎岳に登ります」、「スゴ乗越小屋方面まで足を運びます」など思い思いの登山計画にワイワイと話しが弾みます。食堂にはこたつやストーブが常備されており、お茶を飲みながらこたつでのんびりする方がいました。時計の針は21時、そろそろ失礼します。