北アルプス縦走③

 

2013年10月7日  天気:晴れ

いよいよ最難関の剱岳登頂となりますが、まずは剣山荘にて往復時間を入念に調べます。剣山荘からスタートして6時間後には剱澤小屋に戻る計画ですが、サブザックを持ち合わせていないために13kgのザックを背負いながら山頂を目指す無謀な挑戦となります。はたして戻れるかどうか・・・。地図には滑落と転落、そして落石を意味する危険マークが随所に書かれており、その怖さと難しさを物語っています。

 9時20分 いよいよ剱岳に向かいます


剣山荘の左手から剱岳へ向かうルートが延びています。まずは最初のポイントである一服剱を目指しましょう。一服剱を目指している途中、遠くから爆音が聞こえたと思ったらヘリが剣山荘にて荷物の運搬を行っているじゃありませんか。ヘリの旋回や荷揚げを間近で見ることはそうそうないでしょうから、これはひょっとして?出だしから調子良いんじゃないでしょうか?

 9時30分 別山尾根の第1クサリ場

別山尾根の最初のクサリ場です。ここのクサリ場は難易度低め。慎重に足場を確認して進んでいきます。こんな出だしからクサリ場が出てくるなんて思ってもいなかったので正直驚きを隠せません。クサリは頑丈に固定されていますので安心ですね。あとは転ばないように進むだけ。

 9時35分 第2クサリ場

続いて第2のクサリ場が出てきますが、このクサリ場も難易度低め。こちらも足場をしっかり確認して進んでいけば大したコトはありません。こんな序盤で2番目のクサリ、こんな調子で何番までクサリが続くんでしょうね?これからトンデモナイ場所でクサリが出てくるんだろうねぇ。

 9時40分 あっという間に一服剱に到着

「ここが一服剱」って看板はどこにもなかったけど、たぶんここが一服剱でしょう。

名称に一服って言葉を入れるあたり、先人たちも苦しい思いをして登ったに違いない。一服剱に到着したら前剱が目の前にそびえ立ちます。相変わらずドコをドウ登らせるのか分からねぇ。あの頂上までは40分程の道のりとなりますが、とにかくすごい急斜面を登らせようとしていますね。

 前剱を目指します


まずは一服剱を下りますが、急斜面に見える道もそれほど危険な場所ではないので心配ナシ。むしろ標高が下がってショック。浮石とか落石に注意して進みましょう。それにしても他の登山者と全く会わないな・・・

 10時20分 第3クサリ場

前剱の後半に出てくるクサリ場。ここのクサリ場は垂直に近いです。難易度ちょい高めでしょうか?でも周りが岩だらけなので足場も見つけやすく登りやすいため恐怖感は出ませんね。そう言った意味なら難易度はまだ低いかも。ここら辺から山頂から戻ってきた登山者と会うようになりました。

 雷鳥に遭遇

ハイマツの中に巣があるのかな?雷鳥のヒナが1羽います。あまり近くに寄りすぎるとヒナが怯えてしまいそうなので遠くからズームで撮影しています。この時期はまだ茶色の羽ですね。あと1ヶ月もすれば雪の降る頃となりますので、そうしたら白い模様に変貌を遂げるでしょう。

 10時35分 第4クサリ場

前剱最後のクサリ場です。標高が高くなってきたのでそろそろ恐怖感が襲ってきます。頑丈なクサリと足場がハッキリ見えているのでまだ安心感があると思いますが、でも足を滑らせたら滑落必至です。ガレ場の連続って嫌なものですなぁ。特にここ、剱岳に限っては・・・

 10時40分 前剱を攻略

前剱の頂上を目指すのではなく前剱の脇を沿って進むんだな。剣山荘からここまで約1時間20分歩いてきました。ここを過ぎれば残るは剱岳のみ。クサリ場やガレ場の連続で体力の消費が激しいですが、まだまだ大丈夫。でも正直ここが山頂だったらどれだけ嬉しかったことか・・・

 ついに見えたぞ剱岳!

前剱を抜けたらあとは山頂を目指すのみ。でも山頂直下に見えるあの険しい崖をどうやって登るのでしょうか?人を寄せ付けないと言う言葉の意味がだんだんと分かってきました。本当に身震いします。ここから山頂まで1時間20分程で到着できるそうですが、本当にその時間で登頂出来るのか?

 10時50分 第5クサリ場から恐怖が始まります

ここからクサリ場の恐怖がとうとう始まります。まずクサリ場の前にある橋。両側が切れ落ちているのでバランスを崩して落ちたらサヨナラです。次に来る5番目のクサリ場。崖をトラバースするのでここも慎重に進まないと滑落必至です。前方の登山者の進み方を見習いながら私も進みます。

 11時00分 第6クサリ場

息つく間もなく6番目のクサリ場が出てきます。ここはクサリを使ってほぼ垂直の崖を下りていきます。5番目と比べれば足元が見えるので一安心といきたいトコロですが、滑って落ちたら大怪我は免れませんね・・・。意外と長いクサリなので休憩を取りながらゆっくりと進みます。

 やっと休息タイム


ただのクサリ場なら問題は無いものの、ここは剱岳のクサリ場。体力気力の消費が激しい激しい(汗) クサリのない道が絶好の休息タイムとなります。ん・・・?なんと目の前にある崖を登山者が下っているではないですか!すげ~、あんなルートがあるのか。剱岳、本当になんでもありのコースだな。

 11時20分 第7クサリ場

岩場に足場が作れないからって鉄の棒を差し込んで足場を作っていますが、当時の先人たちはどう登ったんだ?5、6のクサリ場に続き難易度高めです。このクサリ場は上った後にすぐに下りとなり、数分間の緊張が続くわけです。これはもう完全な崖上りと崖下りと言いきって良いでしょう!

 11時30分 第8クサリ場

ここまで進むと標高が上がって道幅が狭くなり、もうクサリ場のない道すらも怖くなってきます。8番目のクサリ場も落ちたら崖下に真っ逆さま。クサリにしっかりと掴みながら慎重に進みます。そう言えばカニの縦バイってどのあたりにあるんだろう?そろそろ出てくる頃だと思うけど。

 11時40分 第9クサリ場 カニの縦バイ

来た、9番目のクサリ場がカニの縦バイだったか。これはもう垂直じゃんか!目の前の岩にクサリがかかっているのが見えますか?これをよじ登るわけです。足場を見つけながら登っていきますが、その足場がとにかく見つけにくい!「どこに足を置くんだ!?」。見つけられなかったら自身の筋力でよじ登らないといけません。緊張は張り詰めっぱなし!一度登ったら後にはもう引けない!

 ガレ場!ガレ場!ガレ場!

登った~!怖かった~!足場が見つからない場所もあって困った~!9番目のクサリ、カニの縦バイを乗り切ったら山頂までクサリ場は出てきません。この先どこまで行ってもガレ場が続きますが、もう山頂は目前!浮石がゴロゴロしている場所なので転ばないように注意。

 やっと剱岳の稜線に出られた

剱岳の稜線に出ました。次は山頂探しです。早月尾根から登ってくるとこの辺りで合流するんでしょう。別山尾根にはカニの縦バイと横バイがありますが、早月尾根にはカニのハサミがあり、どちらの道にもカニが待ち受けています。どちらのカニが登りやすいんでしょうかね?今度行ってみようかな?

 12時20分 剱岳登頂成功!

室堂方面を見ています。写真中央やや下に剱澤小屋が見えますね。かなり小さいですが。

白馬岳、五竜岳、鹿島槍ヶ岳からなら後立山連峰です。

ちょっと霞んで見えにくいですが、奥に見えるのは能登半島でしょうか?富山市街が一望できます。


2999mの頂に到着です!あと1mで3000mとなったわけですが、その半端が剱岳らしい。早月尾根からカニのハサミを乗り越えてきた登山者(男性女性1名) が来ており、また私と同じ別山尾根から来た男性も来ていて4名同時の登頂。「来ましたね」「ええ」。たったこれだけですが、ものすごく重みのある会話でした。北方稜線に小窓尾根が延びていましたが一般登山者通行不向きのプレートが設置。とても行く気にはなれません。

上りのルートでは第5クサリ場と第9のカニの縦バイクサリが一番恐怖を感じました。ともに慎重に進めば問題ない箇所ではありますが、実際にあの場所に立ったら平常心を保つことだけで精いっぱいです。多くの登山者がいれば安心感と言う意味で大丈夫かもしれませんが、今回はほとんどいない世界。でも13kgの荷物を背負いながら単独登頂が出来たんですから、きっと次も1人で大丈夫(笑) 次っていつだ・・・( ´∀`)