谷川岳  2013年12月30日  天気:晴れ

周囲に風を遮る山脈がないことで季節風が直接吹き抜け、冬季には国内で最悪の悪天候に化ける可能性があると囁かれる山域。今年最後の舞台として選んだのはそんな山。まぁ晴れのタイミングを狙えばいいだけなんですけどね。これまで2度ほどマイカー登山で挑戦してきましたが、今回はマイカーは使用せず、代わりに「モグラトンネル」の名で有名な土合駅を利用しての登頂計画(つまり公共機関の工程) を立てています。

 6時00分 JR大宮駅にて新幹線に乗車

モグラトンネルのある土合駅に向かうためには高崎駅、水上駅と順々に辿り着く必要があり、この路線乗り継ぎが結構面倒なんですよね。もしかしたら他にもルートが存在するかもしれませんが、新幹線を利用しての始発経路となると高崎駅と水上駅を利用するルート以外に候補が出てきません。ではでは大宮駅より「JR新幹線とき301号 6時34分発」に乗って早速出発です。それにしても始発だって言うのに指定席も自由席も90%を超える乗車率。高崎まで1駅ですし、椅子探すのも面倒なのでデッキに居座ります。

 7時00分 JR高崎駅に到着 上越線に乗り換え

高崎駅に到着しましたらJR上越線のホーム(今回は6番ホーム) に向かいます。高崎駅到着から高崎駅出発まで12分の余裕がありますので慌てる必要はありません。スキー板やスノボー板を片手に背負う方がだんだん増えてきましたね。登山スタイルの方は・・・私だけ?あ、そうそう、上越線のドアは手で開ける仕組みになっていますので、慣れない扉の開け方に戸惑うことのないようご注意を(笑)

 8時10分 ちょっと雪景色がある水上駅

水上駅に到着しましたら、今度は「長岡行」のJR上越線に乗り換えます。水上駅で「高崎駅⇔水上駅」と「水上駅⇔長岡駅」と上越線が分断されているので乗客はお引越しをしなくちゃいけません。その乗客移動の数はなかなかでしたね。出発まで11分の余裕があるのでこちらも慌てる必要皆無です。さすがにここまで来ると雪が出てきますね。吐く息が白いです。現在の気温は3度。意外に温かい?

 8時30分 JR土合(どあい) 駅に到着

ここが「モグラトンネル」の名で有名な土合駅。水上駅から土合駅を利用する場合は1番ホーム(地下) の到着となります。きっと到着した際、その寂しく静かな雰囲気が体感できるんじゃないかと思います。この時間帯、登山目的でこの駅を利用したのは私だけでした。

 これがモグラトンネルだ!

初めて土合駅を利用される方はビックリするでしょう。地上にある出口まで486段の階段を自身の足で上らなければいけないんですから。改札まで10分・・・エスカレーターなんぞありませんよ(開発予定はありましたが・・・) 。延々と続く階段を頑張って上りますが、この地下を進む姿が「モグラ」を連想させるんでしょうね。

 8時50分 いきなりヘトヘト・・・土合駅の外に出てきました

谷川岳に最も近い土合駅は見た目の通り外も中も閑散としています。また無人駅です。Suicaは使えません(水上まで使用可能) ので精算も不可能。それにしても、水上方面のホーム(2番ホーム) は地上で長岡方面のホーム(1番ホーム) は地下・・・なんでこんな不可解な構造になったんでしょうね?

 国道291号線を歩きます

え~前置きが長くなりました。これから谷川岳に向かいます。土合駅を降りたら谷川岳ロープウェイ施設まで国道291号線を歩きます。見事なアイスバーンとなっているので滑らないように注意して歩きましょう(´Д`;) だからと言ってアイゼン装着は不要です。

 9時10分 谷川岳ロープウェイ 土合口駅

15分程で谷川岳ロープウェイ施設の「土合口駅」に到着です。「JR土合駅」と名称が似ていますが全然違いますのでお間違えのないように。施設内ではスキースノボー板の貸し出しが行われていますね。そっちの冬レジャーも楽しそうだ。ここでロープウェイに乗って天神平駅に向かいます。往復チケット2000円です。

 9時30分 谷川岳ロープウェイ 天神平駅

ロープウェイの終着駅、「天神平駅」に到着しました。スキー場も併設されていてコース上には様々なボーゲンが描かれています。そして谷川岳の登山開始の場所。登山路の状態を見てみると、踏み跡の雪がしっかりと締まっているので、ここはスノーシューやワカンよりアイゼンが効果大でしょう。12本歯アイゼンを装着します。

 ではでは冬山登山の開始です


登山路はスキー場コースの右端を描くルートになっており、またトレースが完璧に出来上がっています。ジグザクに進むゆったり夏場ルートも冬山では直登ルートに変わっていますので、厚着して登ると汗ダラダラ。その後は稜線歩きや少し急な下り坂道も出てきますが、坂道はアイゼンがあるので問題ナシ。

 10時25分 熊穴沢避難小屋だよね・・・?

熊穴沢避難小屋に到着ですが雪に埋もれて入れねぇ・・・。屋根が見えたから小屋って分かりましたが、場合によっては屋根まで埋もれるそうです。積雪180cmはありそうだな。本当にラッセルじゃなくて良かったよ・・・。積雪180cmなんだから、もう膝ラッセルとか腰ラッセルとかの話しじゃ済まないだろうね。

 気持ちイイほどの晴天なり

トレースがしっかりと作られていて本当に登りやすい!バックカントリー目的でスキー板を担いでいる方がいましたが、スキー靴で登っているため滑ったりして本当にツラそう。スノーシュー勢もトレース上を歩くため満足な道幅が得られず歩きにくそう。後ろを振り向くと今年の11月に登った「浅間山」が見えました。

 10時50分 天狗ノ腰掛岩って場所

天狗の宿り岩とも呼ばれているそうです。ラッセルを強いられると天神平駅からここまで4時間30分は掛かると思われる雪道コースも、今日みたいにトレースがあると1時間30分程で到着できます。この差はデカい!天狗ノ腰掛岩から先、ここから急斜面が始まりますので休憩して体力回復を図ります。

 ここが一番大変な上り坂

稜線は「のべ~」って感じの坂道に見えなくもないですが、意外に急斜面です。ゆっくり進みましょう。

 11時25分 肩の小屋と雪化粧をした看板

急斜面を上り終えると「肩の小屋」、そして雪をかぶって見事な雪化粧と化した看板が続いて出てきます。看板が特に印象強く、なんだか軽いモンスターっぽい姿に変貌を遂げていますね。雪と風によって「えびのしっぽ」が出来上がっています。近くにいた登山者の方に看板と一緒の写真を撮ってもらいました。

 11時35分 双耳峰の1つ トマの耳

雪がさらに固まっているようで、踏む度にバリバリと音がします。最後の上り坂を頑張って登れば谷川岳の1つの山頂である「トマの耳」に到着します。看板の奥は雪庇なので、誤って踏むと雪と一緒に滑落します。山頂の状況ですが完全に無風状態ですね。でも寒い。現在の気温は0度です。

 オキの耳へは雪庇を避ける道を進まなければ

トマの耳に立てば、その奥に今度は「オキの耳」が見えるようになります。あちらが谷川岳の最高峰である1977mの地点ですが、その間に見える雪庇が非常に不気味で危険です。雪庇の下はスカスカですので、こちらも誤って踏み抜くと雪と一緒にサヨナラします。でも幸いなことに夏道登山道の真上を沿うトレースが作られているので、今日は問題なく通れそうです。でも歩行者ゼロ・・・

 オキの耳へと向かいます

雪庇を見事にかわすトレースがあったので心配なく進めます。それを見てトマの耳にいた登山者たちがみんなオキの耳に向かって来るじゃありませんか。でも、それもそのハズ。本来トレースが無かったら危険すぎて向かうのにちょっと躊躇する場所なんです。とは言うものの、やっぱここまで来たら最高峰まで行きたいですよね(^o^)

 12時00分 谷川岳の最高峰 オキの耳に到着!

肩の小屋から西へと続く、「万太郎山」、「仙ノ倉山」、「平標山」に延びる尾根です。見事な雪景色。

「一ノ倉岳」に続く尾根ですがトレースは全くありません。通ったら確実に踏み抜いてサヨナラしそう・・・(震)


谷川岳の最高峰「オキの耳」に到着となりましたが、その綺麗な景色に正直言葉を失います。見事なまでの雪景色。各方面に延びる尾根もその稜線がハッキリと見え、遠くには「武尊山」、「赤城山」、「苗場山」が望めます。でも「燧ヶ岳」と「至仏山」は雪庇がジャマで見えませんでした。一ノ倉岳への尾根は、稜線の位置が特定不可で怖くて近寄れず。雪庇の迫力がこれもまた恐ろしい上にすげぇ・・・

 12時30分 これから下山です

トマの耳、オキの耳からの景色を十分堪能しましたし・・・、そろそろ下山開始といきましょうか。その途中、またまた肩の小屋の横を通りますが、こちらも雪化粧でガチガチの状態。営業しているんかな?

 富士山がうっすら見えますが分かります?

写真中央奥に小さく富士山が見えるんですが、写真からじゃあ絶対に分からないな。

 アイゼンを利かせて楽々下山


下山はアイゼンの「つま先」以外の10本歯を地面に刺して歩くスタイルを取っています。日が傾き始めた頃、スノーシューを履いて谷川岳を目指すパーティーと出会いましたが相当ヘトヘトな様子。だ、大丈夫か!?

 14時00分 まずは朝食兼昼食を取って体力回復

下山に要した時間は1時間30分程です。天神平駅の隣にレストランが併設されていますので、そこで朝食兼昼食を頂きましょう。やっぱ、いくらアイゼンを装着して登りやすい道を辿れたって言っても、雪山登山における消費カロリーは半端ないな(*'∀') アレもコレもと注文しちゃいましたね。

 電車に乗り遅れないように急いで駅に向かいます


谷川岳を無事に下山した後、次に気を付けるべきことはJR上越線に乗り遅れないことです。土合駅を発車する上越線は1時間に1本、時間帯によっては2時間に1本の本数ですので乗り遅れたらピンチです。ロープウェイに飛び乗り、土合駅まで急いで戻ります。アイスバーンに気を付けながら。

 15時30分 無事に水上方面の上越線に乗車

15時32分が水上駅方面の上越線発車時刻。土合駅には5分前の到着となりました。結構ヒヤヒヤでしたね~。これに乗り遅れたら2時間待ちを食らっているところでした(汗) 水上方面に向かう上越線は地上ホームの2番線なので絶対に間違えないように!モグラを下りて間違えたことに気が付いたら手遅れもいいところ。あ、でも越後湯沢駅に向うって手もあるから手遅れってワケでもないな。

 15時45分 水上駅にまた戻ってきました

湯檜曽(ゆびそ) 駅の前にある湯檜曽トンネルの曲線はスゴイものですね。水上駅に着いたら高崎駅方面の上越線にまたまた乗り継ぎします。ここでも大勢の乗客が大移動です。

 17時30分 新幹線の中から外を撮影

高崎駅に着いたら新幹線に乗車し、これでよ~うやく帰路になります。新幹線の中じゃあ案の定の爆睡でしたね(笑) 嫌じゃありませんが、やっぱり電車の乗り継ぎは色々と体に堪えますな~

雪山の谷川岳に備えてピッケルとスノーシューも一緒に揃えて向かいましたが、今日みたいにトレースがあり雪がしっかりしているならアイゼンのみで十分です。ピッケルも雪に刺したら刺した分だけ埋まるので全く意味がありません。「オキの耳付近にある雪庇に気を付けて下さい」、「登る際には晴天時を選んでください」、そして、「公共機関(土合駅) を使う場合は上越線の時刻には気を付けて下さい」。