北アルプス縦走④

 

2013年10月7日  天気:晴れ

名峰の剱岳山頂に立ち、そして大展望の景色を見て最高の思い出を残すことができました。私が四苦八苦して登ったこの山を、クサリ無しで登った奈良時代、平安時代の先駆者の方はどんな気持ちで剱岳の山頂に立ったのでしょうか?さてこれから下山となりますが、下山にこそ多い滑落事故。クサリ場もまだまだ登場する厳しい道が続きますので気を引き締めて下りましょう。

 12時45分 剱岳を下山します

剣山荘から出発して3時間20分が経過。いよいよ下山開始となりますが、「本当に帰れるのだろうか?」と正直弱音の発言。山頂にいた他の登山者の方もこの意見には「うんうん」と強く同意してくれます。これを下りなければ剱澤小屋には到着しないし、こんな所でのビバークは絶対に避けたい!別山尾根、早月尾根、小窓尾根、長次郎尾根、どれも険しいルートばかりです。

 13時00分 第10クサリ場 カニの横バイ

第10クサリ場がカニの横バイです。落ちたら助からないかも。恐怖はまだ終わらない・・・

ストンっと切り立った縦バイよりも怖いとされるカニの横バイは、「下りる」と「横歩き」の2つのステップが待ち構えています。ほぼ垂直の崖で、落ちたら絶対に助からないほどの高所だから本当に怖い!足場を確実に見つけて進みますが、その際に崖下も一緒に見えてしまうので怖さ倍増!足を置くステップがあるのですが、これが本当に見つけにくい。クサリが命綱状態となっています。足が震えました(汗)

 続けてハシゴに突入

カニの横バイを通過したらハシゴが続いて出てきます。当然このハシゴからも落ちたら崖下に真っ逆さまとなりますので、またまた恐怖が襲ってくるわけです。その場所を下から見上げていますが本当に崖ですよね。自然と足が震えてきます。他の登山者がいれば安心感として気持ちもある程度落ち着くハズですが、今は誰一人いません。剱岳、色々な意味でなんかもう徹底的に怖いです!

 13時15分 第11クサリ場

カニの横バイとハシゴを無事に通過し、なんとか一命を取り留めました(笑) 一息付いたその後に11番目のクサリ場が出てきますが、ここも落ちたら助からないだろうな。危険なカニルートを抜けたのか、ちょっとした安心感が私の中で生まれてきます・・・が、そう言った時に事故が発生するんですよね。まだまだ油断してはダメだ!ここも慎重に進んでいかないと。

 13時20分 第12クサリ場

11番目のクサリ場を通過したら、今度は12番目のクサリ場が待ち構えています。本当に連続して出てきますね。この12番目は崖上り崖下りが両方あるクサリです。体力と気力がヘトヘトになるタイミングでもありますので、ゆっくり慎重に下りて行きましょう。もう難易度がどうのこうのなんて言ってられん!

 13時50分 第13クサリ場


12番目を通過。13番目のクサリ場までは平坦な道が続くので、このタイミング!これはもう心の休息にもってこいです。そして出てきた13番目・・・ここはクサリ場は崖上りだった。先行者がガケを登っていますので同じ要領で登っていきます。時間を掛け過ぎると握力がなくなるので素早く登ります。

 14時00分 雷鳥の家族!

何羽の雷鳥が写っているでしょうか?答えは『4羽』です。画質悪くてすみません。


「ガスがかかると雷鳥が姿を現す」なんてことを聞きますが、雷鳥を見かけた時は周辺ガス状態になっていた。ジッとしていたら6羽も出てきましたよ。目の前までトコトコと歩いてきて、人間を全く恐れないのか堂々と目の前を通過。そしてバタバタと羽ばたいていきました。へぇ~雷鳥って飛べるのか。当たり前のコトなのになぜか感動(笑) いつものドスのかかった声の他に、「ピョォオ~」って甲高い鳴き方もしていましたね。

 油断しないよう下山します


13番目のクサリ場以降は往路と同じ道を使うことになります。ちょうど第4クサリ場から合流しており、あとは第1クサリ場までは逆走して行くことになります。まだ気を緩むわけにはいきませんが、怖い怖い剱岳を下り、そして前剱まで戻ってきたって言う安心感があります。とは言え、この時の私は本当にヘトヘト状態でした。なんせ重いザックを背負っているもので・・・

 15時00分 剣山荘が見えてきた!

一服剱の手前にある上り坂が最後の関門。ここもキツかった!ここを登りきると一服剱に到着となり、ここでようやくハッキリとした剣山荘が見えてきます。やっと・・・、やっとここまで戻って来たんだ!なんか気持ちが爆発しそうです。ここから先に第1と第2のクサリ場がありますが、もうたやすい。

 15時25分 剣山荘再び

剣山荘に到着すれば危険個所は完全にナシ。剱岳から自力で下りてきたんだって気持ちが爆発?膨れ上がります。剣山荘前で山頂で出会った方と偶然にも再び会うことができ、無事に下山できた喜びを握手を交わしながら分かち合います。大げさ?でも本当にそんな気にさせてくれる山なんですよ、剱岳って。

 剱澤小屋へ向かいます

今夜の宿、剱澤小屋へ向かいますが13kgの重さが災いしたのか膝が痛いです。単調な石の階段も満足に歩けず、「どんだけ遅いんだ?」と言われると思うほどの遅さになっています。早く小屋について休みたい・・・そしてビールを飲みたい。そんな気持ちが私を押してくれています(笑)

 15時50分 剱澤小屋に到着

剱澤小屋に着いて缶ビールを購入し、剱岳を見ての祝杯を上げます(*´∀`)ゞ 周りから「お疲れ!」の労いの言葉が多かった・・・「ありがとうございます(泣) 」。剱澤小屋を8時50分に出発して、剱澤小屋に15時50分に帰還。実に7時間の歩程だったわけですが、途中にあった雷鳥の遭遇や、クサリ場をどう登ろうかなど立ち止まった時間で1時間は多めにかかっていると思います。つまり往復6時間でいけるんじゃないかと。

 17時00分 夕食と楽しいひと時


別山で食べた朝食以外に何も口にしていなかったので食が進む進む。こちらの小屋でも一の越山荘と同じシチューが出てきましたね。ご飯と一緒の大盛りおかわりです。隣に座っていた年配の方と意気投合してワイワイガヤガヤ。部屋に戻って別の年配者の方とワイワイガヤガヤ。ウイスキーも出され、私と30歳は離れているだろうと思われる年配の方と意気投合(笑)

ハッキリ言いまして13kgを背負ってのガチ登山は本当に無謀だったかもしれません。サブザックを用意して不要な荷物をデポして登るのがベストでしょう。小屋の食堂にあるテレビで天気予報を確認しますと、なんと明後日から台風の影響なのか雨模様のマークが不気味に写っています。「危ないかもね」と、小屋から黄色信号が発信されていました。ヤバいな・・・本当にどうしよう・・・