北アルプス縦走③

 

2014年9月14日  天気:晴れ

山は早く寝て早く起きるのがデフォルトですので出発は4時設定。鹿島槍ヶ岳を目指した後は八峰キレットとG4G5(G=グレート?) を越えて五竜岳を目指す計画となります。地図で八峰キレットとG4G5に危険マークが付いていますが、どれほど危険なのか逆に気になるものです。剱岳以上のスケールか?でも慎重に進みたいと思います。まずは鹿島槍ヶ岳と五竜岳に真ん中にある八峰キレット小屋まで進みますか。

・・・危険・・・

鹿島槍ヶ岳から五竜岳の間は岩場を乗り越える場所が多いです。朝6時、クサリやハシゴのない場所、道に無造作に置いてあった石を踏んだら表面に氷が張ってあったようでスリップ!危うく滑落しそうになりました。昨日の雨が石に溜まり、それが冷えて固まったようです。朝6時で乗る石全てでスリップをしてしまったので、雨の後や霜の時期、朝早く通るのはとても危険と思われます。

・・・アクセスについて・・・

鹿島槍ヶ岳のみであれば種池山荘で宿泊し山頂を目指すプランが立てられます。今回のように無理な前夜泊もしないでOKです。一番楽できるのが"さわやか信州号" を利用する計画ですが、万が一券が取れなかった場合は電車に切り替え早朝始発の"あずさ" か"スーパーあずさ" を使って松本、大糸線で信濃大町駅となります。でもそれにおける一番の難点は信濃大町駅発のバス時刻。余裕を持った計画が必要です(汗)

・・・所持品・・・

太陽が上がれば暑く、沈めば寒い、速乾と防寒の両方が必要となる時期です。山荘泊なら問題ないにしろ、テント泊なら寝袋やマット、ダウンなどの防寒着は絶対。ホッカイロもあると重宝します。飲料水は山荘で購入できるので必要最低限でOK。ストックは鹿島槍ヶ岳までとし、それ以降は岩場続きなので返ってジャマです。グローブも絶対。吊り尾根やキレットでは岩を直に触るため手を切る可能性大です。

 3時30分 テント場

3時に目覚ましをセットし4時までに片づけを終えたいところですが、思うように体が動かず苦戦しています。気温は最低4度でしたね。寒さで完全に筋肉が固まったようです。外に出て体を動かし体温上昇に努めます。テントを撤収している方や、すでにザックを背負って鹿島槍ヶ岳に向かう方がいました。

 4時40分 点々とつながるヘッドライトの光

どうにか予定通りの朝4時に出発。昨日の雨でテントが濡れてしまって上に、乾かす時間も全く作らなかったので濡れたままの収納。少々重さが加わってしまいましたね。ヘッドライトを装着して鹿島槍ヶ岳を目指しましょう。現在は布引岳まで歩いているとことで、写真は振り向いた時のモノ。光は全部ヘッドライトです。

 まずは布引岳に到着

左の写真に標識みたいな物が立っていますが布引岳山頂の目印です。右の写真のピークは鹿島槍ヶ岳で、遠目から何名かの登山者が山頂に立っているのが伺えます。登山道がハッキリしないため距離感が掴めませんが、まだまだ道のりは長そうですね。バテないようゆっくり進んでいきます。

 5時30分 ご来光

鹿島槍ヶ岳に到着する前にご来光が出ちゃいましたね。でもゆったり見れていいか・・・


温かい光がやってきた(笑) 登山者のほぼ全員がご来光の写真を撮るため歩くのを止めています。私も一緒に歩くのを止めご来光の写真を撮ります。そう言えば剱岳にもヘッドライトが光ってたな。一服剱辺りで見ていることでしょう。太陽が上がり登山道がハッキリ見えてきましたね。山頂まであと15分ってところか。

 5時45分 鹿島槍ヶ岳に登頂成功!

標高2,889mの鹿島槍ヶ岳の山頂に立った!ちょっと寒いけど大丈夫。太陽の光が眩しすぎる!

これから目指す五竜岳は写真中央部に写る山、それよりも奥にある山は白馬岳となります。

影富士ならぬ影鹿島槍ヶ岳の奥にそびえる山が去年登った剱岳と立山。

上のこの写真は辿ってきた道で、冷池山荘と種池山荘が小さく写っていますね。また、ほぼど真ん中に見える尖った山が槍ヶ岳です。後立山から望む世界には北アルプスの名だたる名峰が揃っています。ああそうだ、槍ヶ岳と鹿島槍ヶ岳は名前が似ており混在しやすいのですが別の山ですよ。

 6時00分 最初に吊り尾根を通過します

これから五竜岳を目指します。危険と呼ばれる難所をこれから通過するんですが、結論から申し上げますと、八峰キレットもG4G5も問題ナシ。恐怖感もナシ。クサリやハシゴが難易度を大幅に下げているためです。むしろ私は鹿島槍ヶ岳の南峰と北峰の間にある吊り尾根に恐怖を感じました。なんせクサリの取り付けが少ないんです。落ちたらサヨナラですよ。なぜここにはクサリを設置しないんだ~

 6時30分 吊り尾根を無事通過

ここで吊り尾根が終了となります。高所が苦手な登山者が渋滞を作っていたため(無理もない) 時間が10分程多くかかっています。この標識から右側に歩くと鹿島槍ヶ岳のもう一つの山頂である北峰となりますが、体力温存のため北峰の登頂は避けます。吊り尾根でのダメージが相当きている感じがしますんで。

 見事なほどのガレ場ばかり・・・


八峰キレットがどこにあるのか全然分かりませんが、とにかく一歩一歩慎重に進んでいきます。ガレ場ルートが頻発しますが、全体を通して登山道がだいぶ整備されている様に見受けられ、浮石や落石のもととなる石も最小限に抑えられています・・・が、それは自分が立っている場所だけの話しなんだろうな。

 7時15分 八峰キレットに近付いたかな?

たぶん八峰キレットに差し掛かったと思われます。クサリ場が目立つようになってきましたので。

ここがキレット(切れっ戸) 。でも徹底的に敷かれているクサリで危険度が大幅に軽減されています。

角度が急峻のためクサリではなくハシゴ登場。混雑時は譲り合いを。

間違っても右に滑り落ちないように。角度のついている崖ですから落ちたら命はありません。

ここの石は強く掴むとモゲるので絶対にクサリを掴むように。また石につまづいたり浮石を踏んだりしないようにしましょう。間違っても左に落ちるなんてことがあると致命傷を負います。でもクサリのフォローがあるため対向者とのすれ違いにだけ気を付けていれば事故が発生するなんてコトはまず無いです。

 八峰キレットも無事通過

八峰キレット小屋が見えてきました。この先、ほぼ垂直の崖をジグザグに下りて行きますが、吊り尾根同様にここも怖かった。ここでの落石は危険極まりないので一層の用心が必要不可欠です。すぐ下では休んでいる登山者がいますからね。この道にもクサリとハシゴが用意されています。

 8時40分 八峰キレット小屋に到着

ほぼ予定通りに八峰キレット小屋に到着。まずは喉を潤すため山荘に売っていたコーラでリフレッシュ。そして今日の朝ご飯用にとコンビニで購入したレトルトカレーと白米(アルファ米) をここで食べます。それにしてもこんな細い場所に山荘なんてよく建てたな~と感服。某雑誌を読むと、設立時は資材を人力で運んだって言うんですから・・・(驚) まだキレットのハシゴやクサリが満足に取り付けられていなかった時代(>_<)

山荘の前で休んでいる登山者に八峰キレットのことを伺うと、「どこが八峰だったんだ?」「私は吊り尾根とそこの崖の道が怖かったですね」「用心に越したことないですけど何ともなかったですね」と言った何とも普通な会話が返ってきました。まぁでも用心して何もないことが一番なんです。ちなみと昨日6歳の女の子が吊り尾根、八峰キレットを越えてキレット小屋まで来たそうですよ。いやいやスゴイな(驚)