奥穂高岳③

 

2014年5月2日  天気:曇りのち晴れ

ザイテングラートの斜面は改めて思っても大変の一言。2日目は山頂までの標高差を縮めるだけの苦しい登山となりましたが、それも周辺の景色を見れば疲れも飛んでいくってもんです。まぁ雲がかかっていますが・・・(笑) 穂高岳山荘のすぐ近くにある"涸沢岳" に登り、その後は山荘で1泊し、体力を完全に戻した明日の早朝に奥穂高岳へアタックをかけます。雪が軟弱になるとアイゼンとピッケルが刺さらないんですよね。

 12時50分 ガスガスの中で休憩を取ります

営業は4月28日より。本日は平日ですから利用者はそうそう多くはないハズです。


左の写真は奥穂高岳に続く道なんですが、ご覧の通りでガスガスです。奥穂高岳の山頂に向かうためには最初にこの"崖" を登らなくてはいけなく、そこは当然アイゼンとピッケルがなければ通行は出来ません。斜度もきつく滑落の危険も伴います。そこを岐阜県警の山岳警備隊の方が注意喚起をしているわけです。

 13時00分 涸沢岳に登りにいきます

奥穂高岳とは反対側にある涸沢岳に向かいます。ガスのためホワイトアウト状態になりかけている中を歩きますが、トレースがしっかり見えるので不安はありません。山頂まで10分程度で行けます。

 13時00分 涸沢岳まで登りにいきます・・・って着いちゃった

本当にあっけなく到着してしまった。ここで3110mなんですよ。驚きです。看板の後ろは崖になっているので足元を確認しながら周辺を散策してみようと思います。写真に写るピッケルですが、あれはバランスが取れるように置いたものであり、板に刺して支えているワケではありませんので・・・、あしからず。

 涸沢岳の周辺を歩いてみます

看板の後ろはこんな感じで崖になっています。落ちたらまず助からないでしょう・・・

北穂高岳に続く稜線ですがトレースなし!見れば見るほど恐ろしい道になっています。

晴れろ~晴れろ~って願った後の「一瞬ガスが晴れた!?」 って時の写真がこれです。北穂高岳の方向ですが、上は全然見えないため、ちょっと下を向いての撮影になっています。目の前の窪地に誤って滑落をしてしまうと周辺は山なので這い上がることが出来ません。現場で見るこの光景には鳥肌が立ってきます。

 ガスで全然晴れない景色にガックリ

すぐ下に北穂高岳や槍ヶ岳への道を示す標識がありましたが、「そうか、稜線ではなくここを歩いて行くんだな」 でも先にはトレースが全くありませんし、見えない雪庇が隠れていそうですし、ここをズカズカ歩くのは危険だ。危ない橋を渡る気はありませんのでここで引き返します。あ~全然ガスが晴れないよ・・・

 14時00分 穂高岳山荘に戻りましょう

穂高岳山荘を中心にして左がザイテングラート、右が白出大滝方面のルート、奥が奥穂高岳へのルート。

斜度は70度!? 奥穂高岳へ続く崖に網を張る山岳警備隊の方です。滑落事故が多発するためネットを張って滑り落ちないようにと対応策を取っています。警備隊の前かがみの姿勢からどれほどの斜度なのか分かって頂ける・・・はず。夏ならそれほど難しくはない道なんでしょうが、雪山は恐ろしい道へと変貌を遂げてますね~。明日はその道を通って登頂を果たすので、どこから登るのか警備隊の方を見て道を確認します。

 15時10分 穂高岳山荘で宿泊手続き

平日効果もあり宿泊者はそれほど多くはありませんでしたね。

ようやく疲れから解放されゆったりタイム。ビールが800円でチップスターが300円と少々価格が高いですが気にしない気にしない(笑) 他の登山者と意気投合し色々楽しくお話しをしてしまいましたよ(^_^) 日本酒やブランデーを貰ったり、おつまみも貰ったり、いや~楽しいひと時ですね。17時の夜ご飯まで2時間も話してしまいました(^o^) ここでまた昨日の雨で涸沢に大きな雪崩があったことを聞きました。

 17時00分 楽しい夕食タイム

朝食も昼食も軽めで済ませてしまったため、夜ご飯がどれだけ美味しく感じられたことか。ご飯を3杯おかわりし、それでも足らなかったのか売店にあるお菓子にまで手を出してしまいました(笑) ビールも飲んでほろよい気分です。食卓でもワイワイガヤガヤで、あぁ~山荘でのご飯ってこんなにも楽しいもんだったのか~って気分に久々になれました。

 17時40分 さて涸沢岳にもう一度登りましょう

3000m級の場所でアルコールを飲むと酔いが早くなるっていいますが、今の私はハイテンションになっているようで(高山病ではないですよ^ ^) 酔いは全くきていません。窓越しから天気が回復に向かっているためもう一度涸沢岳に登って景色を拝みに行きたいと思います。もちろん無理もしていません。

 太陽と笠ヶ岳のコラボ

天候は見事に回復し周辺の山々が一望できます。まだ山頂に立ってはいませんが、横を見れば太陽と一緒に笠ヶ岳が見渡せとても素晴らしい景色が広がっています。涸沢岳のトレースはしっかり残っており、アイゼンさえあれば難なく頂上に立つことができます。ただ風が少々強いため耐風姿勢を取るためにもピッケルも携えて登っていくほうが安心です。

 17時50分 改めて涸沢岳からの景色

正面中央に標高第5位の槍ヶ岳が堂々とそびえ、さらに後ろには後立山連峰が望めます。

ジャンダルム、馬の背、西穂高岳、独標、西穂山荘へと続く北アルプスの最難関ルートです。

雲海の中から顔を出す白山。いずれはあちらの山から奥穂高岳を見てみたいです。

明日登頂の予定の奥穂高岳です。最初の崖さえクリアすれば後はたやすいイメージです。

3110m、またまた涸沢岳の登頂に成功!一緒にいた登山者の方から写真を撮ってもらいました。山頂からの景色は圧巻の一言で、どれもこれも素晴らしい眺望が望めます。周辺には2年前に登った薬師岳、黒部五郎岳、鷲羽岳と、1年前に登った立山と剱岳(これが見えているかどうか怪しい・・・) が綺麗に目に飛び込んできます。ずっとここで見続けたい気分にさせてくれますよ。本当に(^o^)

 満足気分で下山します

奥穂高岳に登る最初の難関である崖がこれまたハッキリ見えます。山岳警備隊の方が命懸けで張ってくれたネットが備わっており、それを見るたびにどれほど滑落している方がいるのかと緊張が走ります。すでに登り終わってる方たちから話しを聞くと、「慎重に安全に行動すれば問題ない」と。また「午後以降は雪が軟弱になるためアイゼンとピッケルが刺さらず死ぬ思いをした。行くなら午前に」と言う方も。

 満足気分で下山します

「安全第一で登頂してやる」「絶対に滑落はしないぞ!」そう思いながら奮起をしています。

笠ヶ岳方面です。西に太陽が落ち始め、何とも幻想的な景色が広がっていることでしょうか!気温は2度でなかなかの寒さですが、そんな寒さも気にしていられないほどの景色です。この迫力は現場で見て頂かないと全く伝わってこないと思いますが、もう「綺麗」の一言です(^o^)

 19時30分 山荘内でWiFi利用中(笑)

SB、Docomo、auの全キャリア端末はほぼ圏外です。外でDocomoのアンテナが1本立った以外、SBとauは3Gキャッチなし。屋内では全キャリアの電波が入ってこないので通話も通信も何もできないのですが、なんと受付周辺ではWiFi環境が整っており通信はOK。LINEで同僚と楽しくトークをしていました。

 20時30分 消灯前に夜空を見に外へ

気温は0度ですから出歩き過ぎには注意です(笑) 夜空がとても綺麗でした。


21時が消灯で、明日は朝ご飯を食べずに6時に奥穂高岳に登頂開始を仕掛けます。体力温存のために本日も21時前には就寝します。最後にiPodでコブクロの「今、咲き誇る花たちよ」を聞き心を落ち着かせます。「今 咲き誇る花たちよ 天高く羽ばたけ 愛すべきこの世界を彩るように~」では、おやすみなさ~い・・・zzz

奥穂高岳に登った方の話しを聞くと、アイゼンは絶対に12本歯が必要だと感じました。斜度がありすぎるため前爪がないとキッキングが出来ないばかりか滑ってしまう危険があるからです。明日も快晴との予報なので4時30分に起き、雪質を確認しながら問題ないと判断した後に奥穂高岳にアタックします。荷物は山荘にデポして負担を最大限少なくします。昨年の剱岳の教訓で、疲労をなるべく発生させないようにします。