奥穂高岳②

 

2014年5月2日  天気:晴れ

4時30分に起床、朝食と後片付け含め6時頃に横尾を出発します。本日の工程は横尾を出発し、涸沢、ザイテングラートを乗り越え穂高岳山荘に辿り着く少々大変な1日。時間があれば奥穂高岳に登頂することも視野に入れ2日目を頑張りまますが、無理はしないようにします(^_^) 天候も申し分なく、本日はどんな景色が見られるのか、まだ起きたばかりだっていうのに興奮しっぱなしです(笑) それでは2日目です!

 4時40分 外を見れば晴天なり

雲1つない景色に周囲から「おぉ~!」と言う声が飛び交います。雪のかぶった山って何だか魅力的ですよね。さてさて朝食ですが、朝食もこれまた夕食と同様に簡単に済ませる物をチョイスしてまして、"岳食" って商品の"わかめうどん" を作ります。少々値段が高くついてしまいますが、その分、味はしっかりしています。

 6時30分 では出発しようか!

横尾大橋を渡り登山路に入ります。まだ太陽が出てから1時間程ですので気温も低く、また涼しい風が体に当たって気持ちいい散歩が出来ています。最初は砂利道の平坦な道がずっと続きます。

 残雪ロードがでてきました

本谷橋に辿り着く前に残雪の道が現れました。平坦な道が続くためアイゼンはまだ装着しておりませんが、装着していた方が断然歩きやすいですね。その後しばらくして視界が突然晴れました。

 7時25分 本谷橋(もとやばし)

本谷橋(もとやばし) に到着し、これ以降は坂道ばかりとなるためここでアイゼンを装着します。樹林帯から外れ直射日光をモロに受ける状況となってしまったため暑い暑い!温度計は25度を示しており、また目をやられないようにゴーグルを着用します。日焼け止めクリームもしっかりと塗っておきます。

 涸沢に向けて歩きます

本谷橋から涸沢ヒュッテまでは50分の距離となりますが、その間にある雪の坂道が意外にも大変。歩くペースを100歩と決めながら歩いては休み、歩いては休みを繰り返し距離を縮めていきます。

 奥穂高連峰が見えてきました

今、私が歩いている道は一体どれくらい積もっているんだろうか?実際には3m程度積もっているようで、でも昨年と比べると実は2m程少ないらしいのです。でも3mもスゴイ!さすがは豪雪の北アルプス。写真右上に写るどれかの山が奥穂高岳で、奥穂高岳でなくともその標高の高さには正直驚くばかりです。

 涸沢ヒュッテまでもう少し

涸沢ヒュッテの屋根が見えるんですが距離が全然縮まらない!なんとか涸沢ヒュッテと涸沢小屋の分岐に辿り着きましたが疲れは酷いです・・・と分岐の看板に鯉のぼりが掛けられているじゃないか!そう言えば子供の日は明日だったな。カラカラと風車が回っており、見ているとなんだか心が晴れやかになってきます。

 9時10分 涸沢ヒュッテにやっと到着

「屋根よ~り高~い鯉の~ぼ~り♪」。風に舞って気持ちよさそうに泳いでいます(^o^)

生ビールが売店で売っていましたが、これからザイテングラートを攻略しないといけないので飲めず。


朝ご飯の量が足りていなかったので涸沢ヒュッテに到着した後は正直バタンキューです(笑) 涸沢パノラマ売店で"涸沢ラーメン(1,000円) " を注文し早速頂きます。売店がやっていて良かった良かった(^o^) お腹がとても空いていたので超美味いの一言!パノラマを堪能しながら食事が出来るって良いもんですね~。他の登山者はコッヘルで焼肉パーティーを開催していましたが、ジュージューと音が鳴って、あちらも美味しそう・・・

 10時00分 ピッケル携えザイテングラートに挑みます

お腹も満たされ調子が戻ってきたところで、穂高岳山荘の直前にある最大の難関であるザイテングラートに挑みます。ザイテングラートとは尾根が岩や石で固められた道を指すようで、冬は特に関係ない用語となりますが、奥穂高岳と言えばこのザイテングラートが有名なので、あえてこの場はそう言わせて頂きますね(^o^)

 命知らずの方・・・

涸沢カールに突っ込む猛者が写っておりますが、でもそこは道じゃない。冬は夏のように決まった道がないため基本バラエティー化となり、写真のように自ら新しい道を切り開いていく方を時々見かけます。周辺に雪崩の跡が残っていますが、あの雪崩が再び動き出したら生命の危機は必至です。気を付けて・・・

 物資運搬用のヘリコプター

突然大きな音が響き渡り、その後涸沢ヒュッテにヘリコプターが着地。物資運搬用のヘリコプターだったようですが、最初は救助隊のヘリコプターなのか?と一瞬ドキッてしてしまいました(>_<)

 雪崩の跡、デブリを歩きます

雪の塊がゴロゴロしています。デブリです。昨日降った雨で表層雪崩が起きたことを知り、今その道を進んでいるんですが、この辺りは雪崩発生区域のため、なにか不穏な音が聞こえたらすぐに周辺を見渡し、雪崩を見つけたら「雪崩だ!」と声を上げ周囲に知らせる必要があります。デブリの道は想像以上にきつく、まだトレースが出来上がっていないのもあり、まるで石の上を歩いているみたい。

 ちょっと振り返ってみます

涸沢ヒュッテとテントがだんだんと小さくなってきましたね。テント泊者は50組ほどかな?

 11時40分 ザイテングラートを登ってます

ザイテングラート区域に入りました。結構な傾斜で疲労の溜まるスピードも早い早い!涸沢ヒュッテでご飯を食べていなかったら疲労困憊は間違いなく起きていたでしょう(笑) そんな中、雪崩の現場を目撃してしまったため緊張が一気に走ります。「雪崩だ!」と声が飛び交いますが、発生場所は私のいる30m左手。ギリギリセーフでした。それと雲行きがどんどん怪しくなり始め、快晴だった天気がドンヨリ空に変わっていきます。

 ちょっと休憩・・・

行っても行っても同じ雪渓が続くので正直気持ちが萎えてきます(汗) そんな時は周囲の景色を見渡して気分をリフレッシュさせます。左を向けば前穂高岳のどっしりした姿が見え、後ろを見れば涸沢が一望でき・・・そんで前を見れば傾斜の強い坂道しか見えてこない(苦笑)

 ザイテングラートをもう少しで攻略!

下山する方に励まされながら少しずつ距離を縮めていきます。足もパンパンに膨れた感じがしており相当疲労感たっぷりです。雪が締まっているため踏み抜きはほぼない状態ですが、太陽の光で雪が溶けてきたこともあり踏み跡に乗ると突然雪が崩れて滑るってことが。「もう少しだよ!ガンバレ!」って声援を受けながらラストの坂を登ります。ザイテングラート・・・確かに急坂でした。

 12時45分 穂高岳山荘に到着!

標高2983mです。なんとかザイテングラートを乗り越えたものの、見事なガスガスになってしまい景色は全く拝めず。なんてこった~!本日はここの穂高岳山荘に宿泊し2日目を終えます。山荘前に座っている方々は岐阜県警のスペシャリスト"山岳警備隊" の方々で、この時期は遭難や滑落事故が多発するため緊急として山荘に常駐してくださり、登山者の方へは色々な情報を提供してくれます。

ザイテングラートは確かに強敵でした。実は本日これで終わりではなく、山荘到着が結構早かったこともあって時間があまり、なのでこれから涸沢岳に登ろうと計画を立てています。奥穂高岳よりも何倍も簡単に登れる山として、奥穂高岳ではなく涸沢岳登頂を果たして下山する方もたくさんいます。なお山岳警備隊より「本日の奥穂高岳は雪が軟弱になっているので登らないで下さい」との注意喚起が。