巻機山② 2014年3月29日 天気:晴れ
野宿で一夜を明かし、そして翌朝・・・グッスリとはいきませんでしたが前日の疲労は完全に抜け切り、今は清々しい景色を見渡しながら独りポツンと思いにふけっています。都心では見られない山岳風景が私の心を洗ってくれます( ´∀`) 夏は夏で存在感バッチリの山容も、雪が降り積もった冬景色に変化してさらに存在感UP。本日はどんな登山になるんでしょうね??頭の中ではいつものようにワクワク気分。
5時45分 起床 |
写真奥に見えるあの山のどれかが巻機山かと思われますが見分けがつかず。相当な雪が積もってそうだなぁ・・・。味噌汁を飲んで体を温め、寒さで鈍った体を叩き起こしたら後片付け開始!朝ご飯で出たゴミは昨日寄ったコンビニで捨て、そのままバス停留所へと向かいます。
定刻までにバス停留場へ |
6時55分"清水" 行きバスが到着。ターミナルの指定場所に停車して客が自ら移動するのが六日町駅のルール。ドアが開いたのを確認したらこちらからバスに向かいましょう。運転手から「え!?
すごい重装備。どこに行くの?」と質問が飛んできた。「巻機山ですけど・・・」、「この時期に?大丈夫?雪に埋もれない?危ないんじゃないの?一人?日帰り?」とマシンガントーク炸裂。答えますからゆっくり喋って~
7時20分 清水停留所に到着 |
ここが清水停留所です。終点なので爆睡しても大丈夫(笑) 登山者は私だけでした。バス料金は460円となっていますが登山者にはザック料金として100円の追加料金が発生します。地図を確認しながら桜坂駐車場に向かいますが・・・あれ?行き止まりだ。道間違えたかな?でも他に道はないしな~。しばらく時間が経った後に1つの答えが出ました。「そうか!雪で道が埋もれたんだ!」
桜坂駐車場までは雪道です |
道が埋もれているとは想像もしていなかった。桜坂駐車場への道はご覧の通り雪で完全に覆い隠されており、雪には多くの登山者が付けたと思われるトレースが続いています。真新しいスキー板のトレースもあるところを見ると、本日のBC(バックカントリー) 者は相当な数になるんじゃないかと思います。トレースが無い場合は電柱を頼りに進むと良いかと思いますが、途中で電柱が消えることもあって信頼性ゼロ(笑)
7時55分 桜坂駐車場は雪で埋没 |
ここが桜板駐車場らしいですが、見事なまでに雪に埋まっており駐車場なのかどうか判別不可能。トレースが無かった場合、はたしてここまで着けたかどうか怪しいものです(>_<)
巻機山麓キャンプ場の一角 |
本当なら私もここでテントを張る予定でした。でも夜中にあの雪道を通るのは相当な気概が必要だし迷う確率も高そうだし・・・(>_<") 雪質はアイゼンやワカンをつけなくても問題ない道なんですが、踏み固まった雪が中途半端な固まり方をして、歩くと時々足首まで沈んでしまうことがあります。実に歩きにくい雪です。
8時00分 ここから登山開始です |
様々な方向に向かって伸びる登山者のトレースとBC者のトレースが多いですが、幾重にも伸びるトレースが安心に繋がるのとは反面、どのトレースが正しいんだ?そんで地図と照らし合わせて正しい道を見つけますが40度くらいの斜度が行く手をふさぎます。すげぇ急だよ(>_<)
9時05分 ニセ巻機山のピークが見えた |
第1樹林帯を突破すれば素晴らしい景色がお目見え。写真左奥に見える一番高いピークはニセ巻機山で、目指す巻機山ピークはニセ巻機山のさらに奥。ニセ巻機山で隠れちゃってるんですよね~
檜穴ノ段って所を進んでいる? |
第2樹林帯の中に突入!コースが雪で埋もれてしまって自分がどのポイントにいるのか全然分かりません。たぶんこの辺りを檜穴ノ段って言うんだろう。急坂の連続で呼吸が荒くなります。そんな道をBC者はスキー板を履いて歩くんですから凄いものだ。雪庇が時々崖に向かって張り出しているので避けながら歩きます。
10時00分 雪道の井戸尾根を歩きます |
第2樹林帯ゾーンを抜けた後は目の前に見えるピークをひたすら登るのみ!でも写真中央に見えるピークは巻機山じゃないので繰り返しご留意願いますよ。初めての登頂でヘトヘトな状態で見れば誰もが山頂だと信じて疑わないあの山は"ニセ巻機山" 。山頂はあのニセ巻機山を乗り越えないと見えない場所にあります。そしてここから地獄の登山がスタートされる。
難点その① |
急坂は登山に付き物なので別に構わないんですが、むしろ直射日光と雪で跳ね返ってくる反射光が半端ねぇ。日焼け止めクリーム忘れちゃったんですよ~!気温は8度と温かいことは嬉しいんですが、その分、太陽の力も強くなりますんで紫外線浴びまくり!絶対日焼けするな、これは(泣)
難点その② |
続いてクマザサゾーンに入ってきました。先行者が作ってくれた足跡を踏んで行くんですが「ズボッ」っと膝が沈む落とし穴が多い多い!酷い時は腰まで沈んで身動きが取れなくなるほどです。BCの方はスキー板なんで沈むことはないんですが、私はツボ足なので沈む沈む!這い上がるだけでも相当疲れる!
10時50分 ちょっと振り返ってみます |
これから"真"の急登に挑戦する登山者の姿がチラホラ。樹林帯の中も急坂の連続でしたが、樹林帯を抜けてから私が今立っているこの場所も相当の急坂。夏道であればジグザグにコースが描かれているものの(きっとね) 冬はそんなこと関係なし。容赦のない坂道が登山者を悲痛な顔にしていきます。
ツラい急坂が続きます |
だぁ~暑くて沈む~!ちょっと休憩しようと足を乗せた場所がよりによって腰まで沈む落とし穴!ちくしょう~(>_<) 「あ~落とし穴踏んじゃったね~」と、同じ場所に居合わせたBC者の方(男性女性各1名 以降ベテランさん) から同情されてもうた。「やってしまいました~」と苦笑いするしかありません。でもこんな会話が登山の醍醐味なんです。
11時50分 ニセ巻機山に到着! |
ここがニセ巻機山でショックを受けた場所( ´△`) 山頂はさらに雪道を歩いていく必要あり。
ここでワカンを装着します |
ツボ足で頑張ってきましたが、とにかく雪を踏み抜くわ沈むわ!疲労が蓄積され「やってらんね~」って気分にさせてくれます。軽傷だと膝で止まりますが、重症だと腰まで沈み込みます。足の先端が"返し"の役割を無駄に果たしてくれているおかげで這い上がるのにも大変。こりゃダメだと思ってワカンを装着。
12時00分 巻機山のピークを目指します |
ニセ巻機山でベテランさんからマス寿司を頂いちゃいました!食べた瞬間、その塩っ気効果がみるみる発揮され体力がどんどん回復していく自分に驚いた。これから巻機山のピークを目指しますが、その手前にあるボス的存在の坂道を見上げるたびに溜め息が何度も出る・・・ワカンを履いても踏み抜く!精神的な疲れもピークに!歩いては休んで歩いては休んで、その繰り返しです。そんなこんなで・・・
12時50分 巻機山の山頂に到着! |
着いたぜ!気持ちいいほどの雪渓風景じゃないか!この方向は谷川岳方面です・・・たぶんね。
南魚沼市街を一望。昨日野宿した河川敷は・・・どこ??真っ白すぎて分かんない。
ラストの坂道が超大変で沈み込む率が半端なしです。実はこのラストの坂道を登る際、ベテランさんが私に手をずっと振って応援をしてくれ、無事に山頂に立った時にはご褒美としてエビスビール(!) をくれ、それを飲んで「くぅ~美味い~!」と思わず叫んでしまった私にとって忘れられない出来事がありました。すごく疲れてしまい山頂で昼寝しちゃいましたね。本当に疲れましたよ!
13時40 下山開始です |
「ん!? 」起きてみたら誰もいない!登ってくる人は見えないから私が最後の一人ってことだ。体力も回復したしお腹もいっぱいになったし・・・これから下山といきましょうか!最終バスは18時40分で制限時間は残り5時間程。ワカンはツボ足より沈まないですがツボ足より歩きにくい。特に急坂になればなるほど。スピードを上げるためワカンを外しましたが・・・結果この選択が誤りだった。
ニセ巻機山で記念写真 |
ニセ巻機山にてBC者が数名休憩中でしたので一旦ここで追い抜きましたが、直後に私の横をスキー滑走で通り過ぎていきました。早さが全然違うな ← そりゃ当たり前だ!
14時15分 下山は下山でまた大変! |
空を見上げれば太陽が日の入りに向けて下がっていくのが見える。強烈な西日が雪の表面を溶かしだし、硬かった雪面は簡単に踏み抜けるほどの軟弱に変わってしまって膝まで沈んだり腰まで沈んだりととにかく時間のロス。体力の消費は半端なく、気持ちは萎える萎える(泣) 顔が引きつります!
樹林帯エリアに突入 |
樹林帯の中に入れば踏み抜く回数も落ち着くと思いきや、全然減らないじゃないか!むしろ増える一方だぞ!しかもここは急坂で軟弱となった雪が溶け出したために滑りやすさMAX!最初は慎重にゆっくりと下りていきましたが、相変わらずの踏み抜いたり滑ったりで・・・なんかどうでもよくなり"すべり台"のように滑っちゃいました。最初からこれで良かったじゃん。
15時40分 キャンプ場にようやく到着となりました |
キャンプ場に到着しましたが達成感は正直半端なかった。疲労とストレスは最高潮だったので・・・
余裕の顔して歩いていたけど・・・ |
雪に埋もれた桜坂駐車場を通り過ぎ清水バス停まで戻るハズが、様々な方向に伸びるトレースに惑わされてしまい正しい道が判別できない!「まぁ、ここで迷ってもどこかの車道に出るだろうよ」と余裕の顔をして進んだ道は、案の定間違った道!しかもトレースがどんどん少なくなる最悪の道に・・・
16時15分 なんとか下山できました |
車道に出られましたがここはどこだ?そんな時、「乗っていくか?」との声が私に届いた。なんと色々と私を励ましてくれたベテランさんとここで偶然の再開!しかも車で越後湯沢駅まで送ってもらえることに!ありがとうございます!駅に到着するまでの約30分間、巻機山や黒姫山などについて、名の由来やその山の特徴などを色々教えて頂きました。男性の方は巻機山へ50回以上の登頂、女性の方は26回の登頂を記録!これには正直驚いた。このような話しは片手にアルコールを持って笑いながら楽しみながら話したかったな~。
17時15分 JR越後湯沢駅 |
越後湯沢駅に到着して互いのHP情報を交換しましたが、すみません・・・(>_<) 検索文字を間違えて覚えたようで本命のページに飛ばない!もしこのHPを読んで頂けていたら改めて教えていただけないでしょうか?
消費カロリーが半端なく、速攻で近くの蕎麦屋に緊急避難!お店にいた女の子(きっと5歳) が私のザックを見て「あれスキーの荷物じゃないよね?とっても大きいね!」と興味深々の様子。ビール、きのこ蕎麦、まいたけの天ぷらを食し、そして帰りがてらに今度は年配の方から「おぅ、今日はどこ行ったんだい?」と質問。ピッケルにワカン、ザックを持つ姿が本当に珍しいようで、店の入り口で10数分話し込んでしまいました。
日本酒を買い求めて |
新潟と言ったら日本酒!美味しい日本酒を求めて駅の近くにある酒屋に立ち寄りました。私の好みは「冷酒で辛さは+3。米とこうじのみで精米歩合は40以下」で、そんな酒ないかな~と店内をかなりウロウロしました。店主も「若いのに日本酒の味が分かって嬉しいね~」とご機嫌。試飲できない日本酒だったのが残念でしたが、絶対に美味しい日本酒だと踏んで購入しました!いや~楽しみだ!
土産店をグルグル回って |
帰りの新幹線情報もCyber Stationで確認し、18時40分の切符を購入。当然グリーン券です。越後湯沢駅の中には広いお土産コーナーが設けられており、私のように新幹線待ちを含め、観光であっても絶対に退屈はしないとおもうほどの広さになっています。地ビール、焼酎、日本酒、せんべい、まんじゅう。何万円もする鋏(はさみ) や何に使うのか分からない器具も売っていました。
18時20分 上越新幹線のホームに向かう |
これから乗車するMaxときのグリーン席はガラガラ状態と判明し、落ち着いて乗車できるんだな~って思うと心からホッとします。そんで先ほど蕎麦屋で食べたのにもかかわらず駅弁を購入!しかもビールも一緒に購入(笑) やっぱり消費カロリーが半端なかったらしい・・・と言い訳は一応しておこう。
すんごい日焼けしました |
日焼け止めクリームを塗らずに登山に向かったため、肌がヒリヒリしています。笑ったりすると痛いです。上を見上げれば直射日光で、下を見下ろせば雪の反射光と逃げ場なしの状況ですので、日焼け止めクリームは必須です。実は後日談で駅構内のトイレに設置してある鏡をのぞきこんだら・・・真っ赤!見事なまでの真っ赤な顔となり、翌々日に会社へと出向いたら同僚から「すごい真っ赤!」との声が。
雪の中へストレートに沈んでしまうツボ足とは違って、ワカンは表面積が大きい分その途中で止まってくれます。腰まで沈むことはありませんでした。本日の天候は穏やかで無風に近く、本当ならガッツポーズをするくらいの嬉しい天候なんですが、気温の上昇が完全に仇となりましたね。今回の歩程は約9時間。最も警戒すべき雪崩を気にしながら歩いていましたが、今回の登山では雪崩が発生する気配は全くありませんでした。
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中尾之宮 吾生人 (木曜日, 03 4月 2014 21:29)
巻機山…まるで機械のような名前ですね。
今回の野宿、インパクト大です!
変な輩にちょっかい出されなかったですか?
YukiHide (火曜日, 08 4月 2014 23:48)
中尾之宮さん、こんばんは。
YukiHideです。遅くなりました!
巻機の由来の1つですが、
機織りの神が宿ると言う意味が含まれているそうですよ。
越後湯沢に向かう車の中で、ベテランさんが私に教えてくれました。
インパクト大の野宿ですが、
冬の新潟で、その時は真夜中で、しかも氷点下で、
さすがに変な輩は来なかったですね~
ちゅーた (水曜日, 09 4月 2014 13:46)
こんにちは♪
路上テントやばいですね!笑
びっくりですw
お天気も良くて、山頂でお昼寝、しかもビールのご褒美付きとは♡
最高の山旅ですねー!
最近わたしはまったり近郊ハイクばかりなので、Yukihideさんレポを読んで高い山の雰囲気を楽しんでます(^^)
越後湯沢駅の中に、500円で好きな日本酒を5種類飲める場所があるんですが行きましたか?
わたしは必ず寄ってます!笑
数百種類の中から、良さげなのを探すのが楽しいですよー♡
YukiHide (木曜日, 10 4月 2014 00:41)
ちゅーたさん、こんばんは。
コメありがとうございます!
路上テントは山の中で張るよりスリルありです。
通報されたら職質100%ですからね~(笑)
今回の登山は"楽あれば苦あり"でしたね。
雪に沈むのは本当に苦しいものではありましたが、
昼寝とビールはとにかく最高でしたよ(^o^)
5種試飲、ぽんしゅ館のことですよね?
これ行きたかったんですが、新幹線の空席都合を優先してしまい
今回は店の前を通っただけで試飲しなかったんです。
今思うと後悔しまくりです(泣) 行けば良かった・・・
その代わり現地で購入した日本酒は最高の味でした。
純米大吟醸の"吉乃川"、また購入したくなる一品です。
R,Gことベテランもどき (木曜日, 01 5月 2014 13:01)
見た見た!
お疲れ様でした、